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今回のテーマは「なぜ42.195kmになった? マラソンの距離の由来」です。ぜひご覧ください。
フルマラソンは42.195kmで争われる競技です。しかし、なぜマラソンはこのような中途半端な距離を走るのでしょうか。今回は、マラソンの距離が42.195kmに定められた意外な歴史、由来などについてご紹介しましょう。
もともとマラソンは40km前後の長距離走でした。ただし、1894年にアテネで開催された第1回のオリンピックで行われたマラソンは36.909km、その後再計測されて36.75kmだったことがわかっています。
その長距離走がマラソンレースと名付けられたのは、紀元前490年のギリシャでの「マラトンの戦い」にちなんでのことです。
その昔、アテネ軍がマラトンに上陸したペルシャ軍を破ったという報を伝令するため、フェイディピデスという兵士がアテナの町まで走りました。フェイディピデスは城門にまでたどり着くと、「我が軍勝てり!」と叫んで倒れ、そのまま息絶えたと伝えられています。その距離が約40kmだったというのです。
そしてアテネオリンピック以降、マラソンレースはオリンピックの花形競技として定着していきます。40km前後という目安の距離が引き継がれ、これが42.195kmに統一されたのは1924年の第8回大会、パリオリンピックのときからです。
しかし実は、最初に42.195kmでマラソンレースが行われたのは第4回大会のロンドンオリンピックでのことでした。この大会では本来、41.843km(26マイル)で設定されていたのですが、イギリス王妃のアレクサンドラ・オブ・デンマークが「スタートはウィンザー城の庭で、ゴールはロイヤルボックスの前で見たい」とわがままな注文をつけたため、距離が延長されて42.195kmになったといわれています。
パリ大会から始まった42.195kmという距離設定は、このロンドン大会の距離をもとに決められたのです。
また、ロンドン大会のマラソンレースでは、もう一つ別のエピソードも生まれています。それはイタリア選手のドランド・ピエトリが誰よりも真っ先に競技場に戻ってきたにもかかわらず、暑さと疲労のために競技場に入ったところで力尽きて倒れたことです。
その後、係員が手を貸してゴールに向かわせるも、ピエトリは何度も倒れ、結局、ラスト350mを10分もかけてゴールしました。観衆はマラトンの戦いの故事を思い出して拍手を送りましたが、その後、係員の助力を受けたことで反則という判断がなされ、失格となってしまいます。このことは「ドランドの悲劇」として語り継がれたのでした。
ところで、この42.195kmはどのようにして計測するのでしょうか。
現在の日本では日本陸上競技連盟が制定した「日本陸上競技連盟競技規則」に、「長距離競走路ならびに競歩路公認に関する細則」が記されています。
それによれば、道路のどこを測るかについては、「基本のラインは歩道側の端から30cm車道側」「左カーブは歩道側の端から30cm車道側」「右カーブは道路のセンターラインから30cm内側」「S字カーブの場合は指定点を結ぶ最短ライン」と決まっています。
さらに、計測方法は、同じく日陸連の「陸上競技審判ハンドブック」に記述されています。そこには、ワイヤーロープを用いて計測するか、自転車にカウンター計を取り付けて計測するかのいずれかとあります。
近年はワイヤーロープで測るのが主流で、これは直径5mm、50mの鋼鉄製のワイヤーをメジャー代わりにして計測します。つまり、ワイヤーを使って尺取り虫のように道路の決められたラインをコツコツと測っていくわけです。この作業には単純計算で70時間以上かかり、作業員は数十人が必要といわれます。実際に計測にあたるのは国際陸上競技連盟公認公式計測員の資格を持つ人です。
さらに、最後に日陸連の検定を受け、合格する必要もあります。検定に合格すれば公認料を支払うことになり、その額は新設時に210,000円、2年ごとの継続時に105,000円となっています。ここまでやって、ようやくコースが確定するわけです。
マラソンの42.195kmには、さまざまなエピソードが隠されていることがおわかりいただけたでしょうか。日本では1909年に初のマラソン大会が開催され、以降、多くの国民に愛される競技となりました。そして今後も世界で、まだまだ多くの歴史とエピソードが積み重ねられていくことでしょう。
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