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今回のテーマは「フルマラソンを攻略するための栄養摂取~当日編~」です。ぜひご覧ください。

ARTICLE THEMAフルマラソンを攻略するための栄養摂取~当日編~

レース当日に摂取した栄養はレース中にほぼ使われない?

さて、前回はレース前日までの栄養摂取について書いてきましたが、今回はレース当日の栄養摂取についてです。

走るために利用するエネルギーを枯渇させないために「レース当日は、何を食べればいいですか?」
というご質問をよくいただきますが、私はズバリこう考えています。

「レース当日に摂取した栄養はレース中にほぼ使われない」

フルマラソンを約2時間〜2時間半で完走するようなトップクラスのエリートランナーやスーパー市民ランナーは、当日摂取したものがレースの間に消化吸収され、エネルギーとして利用されているか?

これは様々な研究があるにしても、まだハッキリと答えられる人はいないと思います。
完走に4時間以上かかるようなランナーなら、ちゃんとエネルギー利用が起こっているかもしれません。

レース当日の栄養摂取ポイント


レース当日のエネルギー摂取については先に書いたように脳にエネルギー不足を察知させないよう騙すための栄養摂取が必要になってきます。

  1. レースの4時間前には食事を終える
  2. マルトデキストリン+フルクトース(果糖)が多く含まれたエナジージェルを選ぶ
  3. 消化管への負担を考慮し水分と一緒に20〜30分程度かけて少しずつ摂取するイメージ

1.については、胃内に食べた物が残ったままレースを進めることは、胃の不快感や腹痛を引き起こすリスクを高めます。またサプリメントやエナジージェルの胃内通過時間を遅らせることに繋がるのでお腹の中はなるべく整理整頓しておくべきでしょう。

2.については、人間の身体では1時間あたりの糖質酸化速度(糖質のエネルギー利用)がおおよそ決まっており、かつては1時間あたり約60g(240kcal)程度と言われていました。

糖質酸化速度の組み合わせを考える

現在ではマルトデキストリン(グルコース同様消化吸収の速いデンプンを更に分解させた糖質)やグルコース+フルクトース(果糖)と言った糖輸送担体の違う2種類の糖質混合液を摂取することにより約90g(360kcal)程度が人間の1時間あたりの糖質酸化速度のピークと言われています(ちなみに グルコース2:1フルクトース の割合が望ましいとこのと)

食品表示の原材料欄は、使用量が多い材料順に表示されているので、例えばマルトデキストリンが1番目、フルクトースが2番目〜といったように表示されているものを選ぶといいでしょう。

3.については、脳にちゃんと栄養摂取しているというアピールだと私は思っています(笑)
実際マウスリンスといって甘味がついた液体を口に含み飲み込まず吐き出すという方法でパフォーマンス発揮時間の延長が起きるという研究もあるくらい脳への糖質摂取アピールは必要だと考えています。

エナジージェル等はどうしても少量高濃度のものが主なため浸透圧が高く胃内の滞留時間が長くなり浸透圧性の腹痛も起きやすいです。ですので水分と一緒に少しずつ摂取することにより、リスクを減らしましょう(飲み過ぎると胃がチャポチャポするので注意)。

細胞内の水分量で差がつく

水分補給は前日からのローディングもしくはレース2時間前からのこまめな摂取をおすすめします。ポイントはエネルギー補給ではなく、脱水を避けるために水分を細胞内に貯めるイメージで行いましょう。(特に空気が乾燥する冬こそ忘れがちなので要注意)

とここまで長々と書いてきましたがフルマラソンを走るのに重要なのは脂質(体脂肪)をエネルギーにして走る能力と適切なペース設定(ペース設定ができないとどれだけ糖質摂取しても失速します)が必要です。

そのベースがあった上で糖質貯蔵を高めてレース中にも利用できれば更なる高いパフォーマンスとして発揮されるでしょう。

この記事を書いたライター
安田 裕輔 管理栄養士 / 健康運動指導士 / Best Performance サポーター
病院勤務を経て、現在はメディカルフィットネス施設で栄養相談・指導を行いながら、自身では陸上長距離を嗜んでいる。自己ベスト:ハーフマラソン1時間25分、フルマラソン2時間59分

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