Archive for 7月, 2018

脂肪は体のエネルギー!?脂肪が蓄積する原因と燃焼するメカニズム

Posted by

「脂肪」と聞くと、多くの方は「ダイエットの大敵」といったイメージを持つと思いますが、実際のところはどうなのでしょう。

脂肪というのは、炭水化物、タンパク質と並ぶ食物の三大栄養素のひとつ「脂質」のこと。私たちの体にとって重要な役割を持つ必要不可欠な存在で、不足すると疲れやすくなったり集中力が低下したり、さまざまな健康トラブルの原因となることもあるのです。そこで今回は、私たちの体にとって大切な脂肪の役割について触れながら、脂肪が蓄積する原因と燃焼のメカニズムについて勉強していきましょう。

脂肪の役割とは

脂肪というのは、前述したように炭水化物やタンパク質と並ぶ三大栄養素のひとつ「脂質」のことです。一般的に脂肪は体にとって不要なもの、ダイエットの大敵と言うネガティブなイメージを持たれがちですが、実は私たちの体にとって大変重要な役割を持っています。その主な役割について詳しくみていきましょう。

エネルギーの貯蔵庫

脂肪細胞や肝臓などに蓄えられた脂肪は、エネルギーの貯蔵庫だと言えます。私たちにとって最も主要なエネルギー源である糖質が、何らかの理由によって不足してしまった場合、蓄えられていた脂肪が必要なときに燃焼され、足りない分のエネルギーを補っているのです。

体温を保持する役割

脂肪というのは熱伝導率が低いため、一度保った熱を逃しにくい性質があります。そのため、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられた脂肪は、体温を保持する役割があるのです。

内臓を守るクッションの役割

脂肪には外部の衝撃から、内臓を守るクッションのような働きもしています。また内臓を正常な位置で支える大切な役割もあるのです。

脂肪燃焼のメカニズム

脂肪には食事から直接摂取するものと、食べ過ぎて余ってしまった炭水化物などから体内で作られるものがあります。そしてこれらの脂肪は貯蔵庫の役割を果たす「脂肪細胞」に中性脂肪として蓄えられるのです。

この中性脂肪は、グリセリンに3分子の脂肪酸が結合した「トリグリセリド」とも言われ、そのままの状態ではエネルギー源として燃焼することはできません。脂肪が燃焼するためには、脂肪分解酵素であるリパーゼによって、まず中性脂肪がグリセロールと遊離脂肪酸に分解されなくてはいけないのです。

分解された中性脂肪のうちグリセリンはエネルギーとして利用されますが、遊離脂肪酸はエネルギーとして使われて余った分が再び肝臓へ送られて中性脂肪として蓄えられてしまいます。この貯蔵量が過多になると、贅肉が増えて肥満体型になってしまうのです。

脂肪が持つエネルギー量

私たちが生きていくためのすべての活動には、エネルギーが必要です。このエネルギーはキロカロリー(kcal)の単位で表されることから「カロリー」とも呼ばれていて、私たちは食物を摂取することによってこれらのエネルギーを得ています。

普段の食事から摂取しているさまざまな栄養素のうち、エネルギーの源となるのが「三大栄養素」と呼ばれる炭水化物とタンパク質と、そして脂質の3つです。

では、それぞれの栄養素は私たちの体のなかでどのくらいのエネルギーに変わるのでしょうか。1gあたりのエネルギー量を見てみると、脂肪が9kcal、タンパク質が4kcal、炭水化物が4kcalとなっていて、脂肪が作り出すエネルギーは他の栄養素と比べて最も高いことがわかります。例えば、見た目にはそれほどボリュームがない料理でもカロリーが高いものは、脂質の割合が多い可能性があるのです。

蓄積された脂肪も燃焼できる

脂肪は私たちが生きていく上で欠かせない大切なエネルギー源ですが、摂取する量が消費される量よりも上回ってしまうと、余った分が体内に蓄積され続けて次第に贅肉へと変わってしまいます。例えば、日常的に脂肪分の多い食事を消費カロリー以上に摂取していたり、脂肪を消費するための運動が慢性的に不足していたりすると、脂肪が蓄積しやすくなってしまうのです。

では、一旦蓄積されて贅肉となってしまった脂肪は燃焼できないのかというと、必ずしもそういうわけではありません。まずは脂肪の蓄積をこれ以上増やさないために、摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回らない状態を維持すること。簡単に言うと、食事制限によって摂取カロリーを減らし、運動によって消費カロリーを増やすことを同時に行うのです。

また、脂肪はリパーゼと呼ばれる脂肪分解酵素によって脂肪酸とグリセロールとに分解されなければ燃焼されません。リパーゼは、交感神経を刺激するホルモンによって活性化されますが、このホルモンは運動することによって脳から分泌されるとされています。そのため、蓄積された脂肪を燃焼するためには、食事制限に加え運動が必要になるというわけです。

私たちの体のなかで重要な働きを持つ脂肪。上記の内容を参考にして、脂肪が蓄積する原因と燃焼のメカニズムをきちんと理解し、上手に脂質と付き合っていきましょう。

夏におこる肌のかゆみは自分の汗のせい?

Posted by

夏におこる肌のかゆみや、肌がヒリヒリする理由とは?

毎日暑い日が続き、通勤中や外に出かけたりするときに流れた汗をハンカチやタオルで拭きます。

ふと気づくと、汗を拭いた首回りや顔周り背中などがかゆくなってきたりしませんか?

さらにお風呂に入ると、肌がヒリヒリすることがあります。それらをほっておくことで、より悪化してしまうことがあります。
それを「汗荒れ」と言います。

◎汗荒れとは

汗は暑い夏だったら通勤中や、お買い物、スポーツの後などに必ず出るものです。汗は、体を冷やすことと、皮脂と混ざって皮脂膜を作るなど、体を守る働きをしています。
しかし、そんな汗も時には肌荒れの原因となることがあるのです。一旦かいた汗を、拭き取らずにそのまま放置してしまうことと、かいた汗を何度もゴ
シゴシとハンカチやタオルでふくことが問題なのです。

○理由1(雑菌)
汗はアルカリ性であり、肌に長く汗を留めておくことで雑菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。肌は本来弱酸性ですが、汗によって肌がアルカリ性に傾き、肌表面の菌のバランスが崩れてしまうのです。

○理由2(バリア機能の低下)
原因は汗の塩分やアンモニアがお肌のバリア機能が低下した皮膚を刺激するためです。バリア機能が正常な時は水分と油分がちょう良い状態ですが、水分不足などが原因で皮膚の乾燥によりバリア機能が低下してしまうのです。本来は肌の表面のバリア機能が外部の汚れや紫外線の侵入を防ぐ役割をします。そのバリア機能が低下したら汗の成分の塩分、アンモニアなど外の不純物が皮膚の中へ侵入してそれが刺激となり汗荒れが起こります。

◎「汗荒れ」を防ぐ方法
汗をかいた後は、汗荒れの原因を残さないようしっかりと対処する必要があるのです。

○汗はすぐ拭き取る
汗をかいたらすぐに拭き取るようにします。汗の蒸発と共に皮膚の水分まで奪われる為、そのままにしておいてはいけません。
しかし、その時にタオルでゴシゴシこするのも肌を傷つける原因となります。タオルは肌に押し当てるようにして使い、乾ききる前に拭き取りましょう。
かゆみが既に起きている場合は、水にぬらしたタオルを絞ってそっとあてることで冷んやりして、かゆみも収まりますし、汗もとることができます。
塩分を皮膚に残さないということにつながります。

○洗いすぎに注意
汗を流したいと思って体を洗いすぎることで、人間の元々持っている肌のバリア機能を奪ってしまいます。
せっけんやボディーソープを使いすぎると、皮膚を乾燥から守る肌の成分を落としてしまい、刺激に弱く少しの汗でも荒れやすい肌になってしまいます。何度もゴシゴシ洗うことでより乾燥肌にしてしまっているということです。
夏でもお風呂から出た後は、保湿を忘れないようにしましょう。

◎汗荒れのその他の原因
汗による肌荒れは、肌の乾燥が進む30代から起こりやすくなります。
外出時に市販の汗拭きシートのメントール感が気持ちよくて、同じ日に何度も首回りをゴシゴシ拭いてしまうと肌に刺激を与えてしまい、皮膚表面の乾燥からの「汗荒れ」をおこすこともあります。
いいものでも、使い方を間違えないようにしましょう。

自分は大丈夫と過信しすぎずに、夏は汗による肌荒れ対策を習慣にして、肌トラブルを防ぎましょう。

この記事を書いたライター
近藤 澄代 美容師 / Best Performance サポーター
渋谷にある美容室TRUEとTRUEsouthの2店舗マネージャー。 テレビ、ライブ、広告、雑誌等でヘアメイクとしても活動。 オーガニックシャンプーやまつ毛美容液の開発プロデュースをして、髪の事、皮膚の事、メイクの事、研究しています。 メンダル心理カウンセラーの資格もあり、心についても勉強中です。

素足を出す季節だから気を付けたい足のトラブルとケア方法

Posted by

素足を出す季節だから、自分の足を見直しませんか?

暑い日が多くなり、素足でサンダルを履いた時に気になるのが、その足の状態です。
足はいつも体を支えているので、常に外部からの刺激を受けています。
特に足の裏は、立ったり歩いたりすることで、靴や床から足の裏を守るために角質が硬くそして厚くなっていきます。歩く時間の長い人や立ち仕事の人は、より硬く厚くなりやすいのです。
さらに靴による圧迫からの爪のトラブルや、においのトラブル、菌によるトラブルなど素足になる時に気になることが色々あります。

角質について

○角質が硬くなる原因
・立っている時間が長いこと
・乾燥

○角質によって起こるトラブル
角質をそのままにすると見た目にも悪い上に、ひび割れて痛みが出ることがあります。さらにその角質が温床になって水虫の原因になってしまうことがあるのと、その角質のムレで雑菌が繁殖して臭いの原因になってしまいます。

○角質のケアの種類
角質を取る方法は色々ありますが、軽石、スクラブ、電動リムーバー、ピーリングなどたくさんあります。しかし角質除去を一回で一気にやろうとすると、取りすぎて痛みが出たり、その後のケアを怠ってかえってさらに角質を硬くしてしまう原因にもなります。

○角質ケアの方法
1・お風呂などで角質を柔らかくします。
2・優しく一定方向にかかとなどの固いところをヤスリなどでこすります。
3・爪の周りは弱いところなので、清潔な歯ブラシなどを使って優しく丁寧に洗います。
4・お風呂から出たあと、しっかり保湿しましょう。

爪について

足の爪は体を支えるためにとても重要な役割をしています。
足の爪は、歩く時に大切な役割をしています。歩き出して足を上げる時、爪先が地面を蹴っています。この爪先は作用・反作用で、地面から力を受けていて、爪がなければ、地面を蹴ることができないのです。しかし、この足の爪の切り方や、合わない靴を履いていることで、巻き爪や陥入爪になってしまうことがあります。そうなると痛みから体をかばうために姿勢が悪くなったりして、体のバランスを崩して腰痛や色々な体調トラブルを生んでしまうことがあります。その他にも、白癬菌により爪水虫になることがあります。これはなかなか治り辛いものなので病院に行くことをお勧めします。

○爪の切り方
爪は丸く短く切ることや、深爪にしてしまうと、巻き爪になりやすくなってしまいます。爪の先は平らに、角を少し丸くした「スクエアオフ」の形がおすすめです。この場合爪切りより、やすりを使う方がいいです。

○爪の周りのケア
爪の周りの角質の溜まりが臭いのものとにもなるので、お風呂などで角質が柔らかくなった時に、清潔な歯ブラシで洗うことをお勧めします。
この時に綺麗にしようと尖ったもの(爪楊枝などで)で爪の間などを傷つけないようにしましょう。

○これ以外のケア方法
病院や専門サロンなどでは、コットンパッキングやワイヤーを使った方法、形状記憶シートを使ったものなどあるので、巻き爪、陥入爪などに関してはあまり自己処理をせず、一度診てもらうことをお勧めします。

このように、フットケアは綺麗にすることだけが目的なわけではなく、体のトラブルにつながらないようにするためでもあります。このタイミングで、自分の足をじっくり見直してみてはいかがでしょうか。

カルシウムだけ摂取しても身長は伸びない?

Posted by

成長ホルモン-甲状腺ホルモン-骨の成長に不可欠

甲状腺は、喉仏のすぐ下にある一対の内分泌器官です。この甲状腺から分泌されるホルモンが、骨の成長、脳の発達、酸素の消費、体温調節、コレステロールの代謝など、重要な役目をしています。
骨の発達には、コラーゲンやカルシウムやリンも大切ですが、甲状腺ホルモンが必要不可欠です。
甲状腺ホルモンは、アミノ酸誘導体ホルモンとも言い、アミノ基とカルボキシル基を含むアミノ酸をもととしているため、甲状腺ホルモンには「アミノ酸」が最重要物質になります。

カルシウム濃度を調整するカルシトニンとパラトルモン

カルシトニンは、甲状腺のC細胞から分泌され、一方、パラトルモンは左右の甲状腺の裏側にある上川小体と呼ばれる組織塊から分泌されます。カルシトニンは、骨に作用してカルシウムが血中に出ないようにカルシウム溶解を抑制し、血中のカルシウム濃度を下げます。
パラトルモンは、腸に作用してカルシウムの吸収を増強し、骨のカルシウムの溶解を促し、血中のカルシウム濃度を上げる働きをします。
カルシトニンもパラトルモンもタンパク性のポリペプチド・ホルモンです。

骨の発達には、アミノ酸(タンパク質)は欠かせない

骨の発達には、アミノ酸から生成される甲状腺ホルモンが不可欠になりますから、成長期には良質なアミノ酸を摂取することがとても重要です。しかし、アミノ酸(タンパク質)は唯一体内で蓄えることが出来ない物質です。タンパク質は毎日壊され、そして造られます。
一日で壊されるタンパク質は男性で1.2g/kg、女性で0.8g/kgです。60kgの男性で72g、女性で48gが毎日失われます。その失われたタンパク質を毎日摂取することが大切ですが、毎日ですから想像している量と必要量に誤差があります。意外と良質なタンパク質は摂取できていないのが現状です。

骨の土台になるコラーゲンもタンパク質で出来ている!

骨の成分は、コラーゲンとカルシウム・リンの結合組織です。骨の土台となるコラーゲンもタンパク質(アミノ酸)-グリシン+アミノ酸(トリプトファン以外)+プロリン-からできており、コラーゲンも毎日2,000mgが破壊され、再生されています。
カルシウムは、骨に95%存在し、一日800mg程度必要です。また、カルシウムは、マグネシウムとの関係(比率)がとても重要な栄養素です。

カルシウムだけ摂取しても無駄

スピルリナは水前寺のりの仲間で藍藻類です。30億年前から海で生息している螺旋形の藻で、人間の組成成分と類似して骨の成長に欠かすことが出来ないミネラル/ビタミンが豊富に含まれています。
スピルリナには、骨の成分であるグリシン、プロリンはもとよりあらゆるアミノ酸が豊富に含まれています。但し、トリプトファンは少量です。
また、人間のカラダを構成しているアミノ酸は全部で20種類ありますがすべて含まれています。また、スピルリナは、ミネラル、ビタミンの宝庫で、ビタミンB12は牛肉の2倍です。
地球は70%が海で30%が陸です。<驚くことに人間の身体も70%が水分で30%が組成成分です。そして組成成分の比率はタンパク質が65%で、スピルリナのタンパク質比率と同じ比率なのです。人は母親の胎内で海水と同じ成分が含まれているミネラル、ビタミン類の羊水の中で成長していきます。
子供の健やかな成長を考えるなら、カルシウムのように特化した栄養素よりも体を構成する栄養バランスを考えてあげることが必要です。

ロイシンから生成されるHMBとは? その効果に迫る

Posted by

HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)は、必須アミノ酸の一種であるロイシンの摂取により体内で生成される成分です。特に高い運動能力を必要とするアスリートやボディビルダーに注目される成分とされています。最近では、高齢者のサルコペニア(老化に伴う全身の筋肉量減少)の予防や改善にも有効であることが明らかになっています。
ここでは、HMBの成分や生成過程、その効果を紹介していきましょう。

HMBとは?

BCAAのひとつである「ロイシン」から体内で合成されるHMBは、もともと生体内にある物質です。ヒト有効性データが豊富で、筋重量の増加や筋肉の損傷抑制効果があると言われており、米国ではメジャーなサプリメントとされています。

HMBの役割

筋力トレーニングを行うと、筋肉の伸張により「筋線維」に損傷が起きます。この損傷を修復しようと脳から指令が送られると、修復するだけではなく、それまでより強い筋肉を作ろうとします。すると筋肉は肥大し、筋力も増大。筋力トレーニングに慣れていなかったり、あまりにも強い負荷をかけ過ぎてしまうと、傷の修復が追いつかず、思うように成果を得られない場合があります。ここでいう、筋繊維の損傷と修復、筋肥大(筋力増大)に大きく作用する成分が「HMB」です。

筋力トレーニングにおけるHMBの効果とは

HMBには、運動時の筋損傷を抑える(筋肉の分解抑制)ともに、筋肉量を増加(筋肉の合成促進)させる働きがあります。細胞内での筋タンパク質合成を制御してくれるため、筋肉中では筋肉の分解と合成が同時に行われ、激しい運動では分解されるのです。つまり、HMBを摂取していれば、いつもより高い負荷の運動を行っても筋損傷が低減される上、筋損傷の回復も早まるため、効率的に筋力増大が期待できるのです。
40代の一般男性3人に、それぞれ毎日HMBを0g、1.5g、3.0g摂取してもらい、週3回のウェイトトレーニングを3週間継続してもらいました。すると、HMBを0gと3.0g摂取した男性を比較してみると、3.0g摂取していた男性の方が除脂肪体重は約3倍増加していることが分かりました。
このように、HMBを摂取し筋力トレーニングを行った場合、除脂肪体重が増加し、摂取しなかった時と比べ格段に筋力が増大するのです。

そして、HMBには、運動時の最大酸素消費量を増大させ、疲労を感じるまでの時間をも延長させる働きがあります。HMBを摂取して筋力トレーニングを行えば、いつもより高い負荷のトレーニングを行っても、筋損傷が起きにくく、トレーニングの効果をより早く実感することができるでしょう。

高齢者のサルコペニアにも効果あり

HMBは、高齢者のサルコペニアにも効果があるということが研究結果でも明らかになっています。サルコペニアとは「筋肉の喪失」を意味する造語で、加齢により筋肉量が減少し、筋力が低下した状態を指します。
サルコペニアが進むと、歩行をはじめとした日常生活動作に支障を来し、生活習慣病または生活不活発病の発症に大きく関連すると考えられています。サルコペニアの傾向にある高齢者またはその予備軍がHMBを摂取すると、筋萎縮を抑制する効果が期待できると考えられています。

食事から摂取したロイシンの約5%がHMBに変換されると言われていますが、体内でHMBを1グラム生成するには、20グラムのロイシンが必要になるため、食事だけではなくサプリメントで補うのが望ましいとされています。HMBを毎日の生活に取り入れ、健康的な生活を維持していきましょう。

細胞内液・細胞外液の存在から考える水分補給 グリセリンローディングとは?

Posted by

「足がつりやすい」、「バテやすくなった」など、運動パフォーマンスがなかなか改善されない。そんな悩みを抱えているアスリートも多いのではないでしょうか。今回は、運動パフォーマンス改善の一つの手法として、確立されている「グリセリンローディング」という水分補給法についてご紹介していきます。

一般的な水分補給法

脱水予防、熱中症予防というと、電解質を含んだドリンクを摂取することが推奨されています。そのため、暑い時期になるとミネラルウォーターではなく市販されているスポーツドリンクを飲む人が多く見受けられます。
一般的なミネラルウォーターやスポーツドリンクは、体内に入ると直接血管に吸収され、血液量を増加させますが、血液は細胞外液(細胞の外に存在する水分のこと)のため、細胞内に留まることなく、すぐに尿や汗となって体外に排出されてしまいます。これは、腎臓が血液量の増加を察知し、通常レベルに戻すために利尿作用が働くからです。
このとき、細胞内液(細胞の内に存在する水分のこと)が細胞外液に変わり、体内の水分を補いますが、変わりに細胞内液はどんどん減っていってしまい、効率よくエネルギーを生み出すことができなくなります。そして、やがては脱水の状態になり、足のつりや倦怠感、熱中症を引き起こす原因にも繋がってしまうのです。

また、スポーツドリンクの中には、多くの糖分を含んでいるものもあり、血糖値を上昇を引き起こします。血糖値が上昇すると、細胞内液から水分が血液中にどんどん出され、結果的に脱水状態になってしまったり、急激に上がった血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌され、インスリンショックを引き起こし、激しい倦怠感を引き起こしてしまうこともありますので、注意が必要です。

グリセリンローディングとは

グリセリンローディングは、一定の濃度に水で薄めた「グリセリン」体内に取り入れることにより、細胞内に水分を効率よく取り込むことができ、細胞内液として長時間水分を保ちやすくすることができる水分補給法のことです。

1970年代に中長距離ランナーとしてオリンピックでも活躍したデビッド・マーティンとピーター・コーの共著「中長距離ランナーの科学的トレーニング」(大修館書店)などをはじめとした書籍などでも、グリセリンローディングが紹介されています。

グリセリンローディングを用いた水分補給法

グリセリンローディングでは、グリセリンを含んだ水分を補給することにより、細胞外液から細胞内液(細胞の中に存在する水分のこと)に水を集めます。
グリセリンには、簡単に言うと「水が大好き」という性質を持っていて、水を引き込む力に非常に優れています。身近な例でいうと、保湿効果を謳った女性の化粧品にも入っています。

体内に取り入れたグリセリンが、リンパ管から首の後ろにある脊柱核を通じて体内に吸収され、そこから静脈に入っていきます。細胞膜には、グリセリンが細胞内外を行き来できる「グリセロポリン」という通り道があるため、血液から細胞内に入っていくことができます。
細胞内に入ったグリセリンは、アクアポリンを通じて細胞外の水分を内側に引っ張り込む働きをします。そのため、グリセリンを含んだ水分を補給することにより、細胞内に水分を補給することができるのです。

一般的な水分補給法とグリセリンローディングの違い

運動パフォーマンスが低下する原因の主な原因として、「脱水」があげられます。
スポーツの現場に携わる方々であれば、すでにそのような知識もあり、脱水状態を避けるべく、積極的な水分補給をされているかと思いますが、「競技の途中で足がつる、倦怠感が出る」という声があとを絶ちません。
その原因は、運動中に失った水分量をきちんと補い切れていないことや、競技によっては水分補給の機会が限られていることなどが挙げられます。
そして、着目すべきもう一つの原因として、摂取する水分そのものが適切でないことです。

一般的な水分補給法とは異なり、グリセリンローディングでは、細胞外液に水分を溜めないので、利尿作用が強く働くこともなく、長時間、体内に水分を保つことができます。つまり、グリセリンローディングは、運動パフォーマンスの低下を防ぐだけなく、熱中症対策方法などにも活用できる水分補給方法と言えるでしょう。

グリセリンローディングの効果検証

デビッド・マーティンとピーター・コーの共著「中長距離ランナーの科学的トレーニング」(大修館書店)の翻訳者である筑波大学大学院人間総合科学研究科運動生化学研究室の征矢英昭先生に協力をお願いし、グリセリンローディングが運動パフォーマンスに与える影響を研究していただきました。
すでに1987年の研究で、体重1キロあたり1.0~1.2グラムのグリセリンと20~26ミリリットルの水分を運動の約2時間前に摂取すると、体水分量が300~700ミリリットル増加し、水のみを摂取した場合と比べて高体水分状態が4時間以上持続することが報告されています。(体育の科学Vol.54 No.10 2004「暑熱下運動時の脱水を防ぐグリセリンローディング」西島壮・征矢英昭より)それでは、どのくらいのグリセリン濃度で、どのように摂取すれば効果的なのか。それを、改めて検証していただいたのです。

その結果、はじめに高濃度のグリセリン飲料を摂取し、その後多量の水分を摂取するグリセリンローディングによる水分摂取が、もっとも体重の増加と尿量の減少が見られ、保水効果が高いことが確認されました。つまり、最初にグリセリンを摂取して細胞内に貯蔵させ、あとから多量の水分をとって、細胞内にあるグリセリンに水分を引き込ませることが、実験でも確認できたのです。

さらに、中距離選手6名の協力のもとで行った実験では、グリセリン飲料摂取群(グループA)とプラセボ飲料摂取群(グループB)に分かれてもらい、高温環境下(室温30度、湿度50パーセント)で70分のペダリング運動を行ってもらいました。運動時、体重の減少量が体重の2パーセントを超えないように水分補給することが推奨されていますが、この実験で運動後の体重減少量は、グループAが890グラム(体重の1.4パーセント)、グループBが1680グラム(体重の2.5パーセント)でした。これにより、グリセリンローディングに脱水軽減(もしくは遅延)効果が期待できることが確認できたことになります。

ただ、もちろん留意点もあります。筑波大学の研究では、濃いグリセリン水を摂取した場合少数ではあるものの、軽い頭痛や目のかすみを訴える被験者もいました。一時的なもので60分後には正常に戻ったため、摂取から運動まで90分ほど安静時を確保することで対処が可能とされています。また、肥満、腎疾患、循環系疾患、肝臓疾患の心配がある人や妊婦さんはグリセリンローディングを行うべきではないといわれています。

グリセリンローディングでパフォーマンスを引き上げる

グリセリンローディングは運動パフォーマンスを向上させるのに最適な水分補給方法として活用していただけます。
ここ数年、プロ野球でもグリセリンローディング法採用した「+α WATER」を使用する選手が増え、その効果を感じているようです。

実際にグリセリンローディングを実践するアスリートに直撃!

アジアリーグ アイスホッケーチーム・王子イーグルス(北海道苫小牧市)の選手たちに使っていただくことにしました。アイスホッケーは5月から8月の暑い時期にシーズンオフとなり、この期間はかなり過酷なトレーニングを行います。実際にプロアスリートたちがグリセリンローディングを採用すると、どんな「実感」が出てくるか、ぜひ聞いてみたかったのです。
すると、シーズンオフのトレーニングを終えた選手から「今まで使っていたスポーツドリンクみたいに甘くないし、とても良い感じ」、トレーニングメニューを作っているトレーナーからは「まず一番びっくりしたのはハードなメニューをこなしても足がつらなくなった、あれには驚いた!」という感想を聞くことができました。さらに「トレーニング後半の伸びがいい」「筋肉がパンプアップして、いい具合にハリを感じられる」という声も聞こえてきました。

さらに、家庭婦人バレーチーム・世田谷ウィングのみなさんにもグリセリンローディングを採用していただいたところ、同じく「足のつりがなくなった」という感想をいただきました。また、「子供が風邪のときに飲ませたら回復が早くなった」という声もありました。

脱水予防、熱中症予防という視点以外に、良質な筋肉をつけるためにも、正しい水分補給の知識はアスリートにとって欠かせないものです。また、かつて水分補給が禁止されていた箱根駅伝でふらふらになっている選手がいたことでもわかるように、冬であっても汗、呼気、乾燥による蒸発などで脱水症状になることがあります。季節を問わず、競技を問わず、スポーツ活動を充実させるために、ぜひグリセリンローディングに着目していただければと思います。

取材・構成 岡田真理